シェーバーを買い換えた話

回転式シェーバーをつくる、数少ないメーカー、Philips。
その中でも、特に肌に優しいと謳う7000シリーズ。
2年間使った、その電気シェーバーを買い換えた。

2年という使用期間は、僕としては破格に短いといっていい。購入してから2年が経ち、そろそろ刃を交換しようとした矢先、ヘッド部を落とし、刃を固定する突起が欠けた。ヘッド部の修理(交換)と刃の交換を合わせると、1万円近い出費が求められたのだった。

社会人になり、僕が最初に買った電気シェーバーは日立のロータリーシェーバーだった。一般的なシェーバーの、電気モーターの回転運動を往復運動に変換する仕組みは、機械に無理をさせているように感じられ、刃を回転させて髭を剃るロータリー式は、理想の仕組みのように感じられた。ずいぶん長いこと使ったそのシェーバーも、蓄電池の寿命を全うし、買い換えることになった。

次に使ったのは、PANASONIC社のΛ’(ラムダッシュ)だった。リニアモーターで、1分間に何千だか何万だかの、ものすごい高速で刃が往復するというセールスコピーにやられたのだった。実のところ最初から知っていたはずなのだが、ひげ剃りに必要なのは往復運動の速さなんかではなく、慎重さとか丁寧さとか、人の身体をケアする所作であるということを、僕はリニアによってあらためて気付かされた。

そのあたりから、まるで僕は別れた元カノの痕跡をWEB上で探すように、理想のシェーバーを求めてヤフオク!やamazon.comを、そして価格.comのユーザーレビューを彷徨うことになった。

もうずいぶん前から、日立はロータリーシェーバーの製造をしていない。今回調べて驚いたのは、シェーバーそのものではなく、世の中からなくなりかけているロータリーシェーバーの替え刃は、元の値段の何倍もの値段で取り引きされていることだった。

けっきょく僕は、Philipsの7000シリーズを修理して使い続けるより、ロータリーシェーバーが使えない世の中が来るまで -それはそう遠くはないだろう-、ロータリー式を使いたいと思った。ヤフオク!で、比較的程度の良いロータリーシェーバーを落札した僕は、同時にamazon.comで、わずかに残っていた替え刃を2セット購入したのだった。

なにかの弾みで、どこかのメーカーがまた作ってくれればよいのだが。

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