結果オーライにする力

6月下旬、新規感染者数が落ち着いた時機を見計らって、僕は代々木八幡のポルトガル料理の店にG君を誘い出した。G君とは、幾度かお預けとなったあとの再会というだけでも十分にうれしかったけど、その日まで、コロナ禍以降は完全に人との会食を控えていたという事実も、僕を饒舌にさせ、かの地の微発砲ワインをより一層美味しく感じさせたものだった。

より正確にいえば、G君を誘ってからお店探しをした以上、お店に誘い出したというのは正しくはないし、新規感染者数が落ち着いていたのはたまたまのことで、そのタイミングで誘ったのは実のところ、今回の転職活動でG君が勤める会社が募集していた職種に、僕が関心を持ったからだった。

いわゆる旧財閥系に属するその会社が、僕のような、二桁にものぼる会社を転々としてきたアラフィフを招き入れるとも思えなかったけど、しかし、これまでだったらまず書類で落とされていたはずが、少なくとも面接まで進んだことに、僕は社会の変化や、業界で伝え聞く人手不足というものが、思っている以上なのかも知れない、と思ったのだった。

自分が思っていること、やってきたことをできるだけ忠実に、誠意をもって伝えること。
そして、僕の経験とか能力とかあるいはこの面倒な性格をも受け容れ、一緒にやりたいと思ってくれる人たちと出会うこと。今回の転職は、そんな、出会いを求める活動と言ってもいいものだった。

結局、一次面接で終わってしまったのは、それがお互いのためだと、そう見極めたからなのだろう。いまの気持ちとしては残念ではあるけれど、幸運を先取りした(あるいは不幸の芽を予め摘んだ)のかも知れない。負け惜しみだろうか。そうかも知れない。そうでないかも知れない。

けど、結果オーライにするのは、これからの僕次第なのだと思う。

さぁ、またがんばろう。

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